翔との関係は一向に変わらないまま、

わたしと翔は中学三年生になった。


その頃にはみんな
冬の高校受験に向けて本格的に慌しくなり、

わたしも必死になって勉強した。


そうしたら自然に翔と顔を合わさなくて済むようになったし

からかわれる事も少なくなった。


それでもどの高校を受験するかは、絶対誰にも秘密にした。


もしも何かのひょうしで翔に知られたりでもしたら、

きっとまたバカにされるって、そう思ったから。


でもまさか、翔もわたしと同じ高校を受験して、受かっていたなんて……。


“バ加奈子”


やだな…どうしよう。

やっと翔から離れられて、楽しい高校生活を送れると思ったのに


これからもまたそんな風に名前を呼ばれて、からかわれるんだと思ったら、


今まで期待に胸を膨らませていたはずの、

ぜったい光り輝いてると信じて止まなかったわたしの高校生活は

一気に、お先真っ暗になった気がした。


住んでいる家も隣で、クラスも一緒。

おまけに席までも隣同士なんて…


神様は翔と同じで、どこまでも意地悪だと思った。