「…ったく、バ加奈子」
思わず意識を失いかけて、倒れそうになった瞬間
すぐさま誰かに腕を引っぱられたかと思うと
耳元からふいに、人の呆れる声がして。
その言葉に、わたしはボンヤリした気持ちのまま
うっすらと目を開けてみる。
「!」
でもそこでわたしの体を支えて、立っていたのは
なんと…さっきまで横に座っていたはずの翔で。
その瞬間
思わずハッと大きく目を見開いたわたしに
翔は視線を合わせないまま、向こうを見て言った。
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