「…さぁね」


なんて、

わざとあいまいに濁したようにもとれる発言に

「えー?」と女の子たちの批判的な…でもどこか喜んでいるような声が聞こえてくる。


その瞬間、わたしはとっさに顔をうつむかせた。



「なんか今の、意味深じゃない?」

「うんうん」

「あーあ。広瀬くんと一緒なら、あたしも立候補すれば良かったな」



今も翔と話しをしているはずなのに

実際は隣にいるわたしに向かって、そう言われているような気がして。


この席に座っているのが辛くなったわたしは

ギュッ…、とスカートをにぎりしめる。



「……っ」



もうやだ…。

帰りたい。



この高校に来てからイイことない。


ちっともイイことなんかないよ……――。