「……」



シーン……



先生がいなくなったことで、
とたんにシン…、と静まり返ったような、ひどく重苦しい空気がこの部屋を包む。


しばらくの間、お互いここから動き出せずに黙りこんでいると

ふいに後ろでさりげなく小さな溜め息を落としてみせた翔が、突然わたしからスッ…と背を向けた。



「俺らも戻るか」

「!」



あ……



“その件に関してはもう俺が今日、本人からきっぱり断られてんで。
こっちももう吹っ切れてますし”



どうしよう

やっぱり
やっぱり傷つけた…


謝らなくちゃ

謝るのは今しかな…



「あ、あのっ翔…――!」



とっさに今日の昼のことを思い出し
すぐさま後ろを振り返って、翔を引きとめようとしたわたしに


すぐ目の前ではドアノブに手をかけ、この部屋を黙って立ち去ろうとしていた翔が

直前でピタ、といきなり足を止めたかと思うと、こう口を開いた。



「……悪かったな。
昨日、あんなことして」