さっき、ここに来た時はあっさり無視されて

しかもそれに今は、あの三浦さんと付き合ってるはずなのに



“…いいっすよ”



まさかあんなふうに言ってくれるなんて、思わなかったから…――






「……あれ?」

「んだよ、いねーじゃん」



ザワザワ



――その後、一足遅れて
わたしもロビーの喫煙フロアへと駆けてきたものの

実際そこで目にしたのは他の一般客層の人たちばかりで、春野先生らしき人物の姿は少しも見当たらない。


するとその事に若干イラッとしてなのか
隣でチッ、とあからさま不機嫌な顔をする翔に

わたしはキョロキョロと辺りを見回して
近くに春野先生らしき人が紛れていないか、必死に床の間をくまなく歩きまわる。



「いない…。どこにいるんだろ」

「フロントにでも聞くか。
メンドくせーけど」



それでも結局、本人の姿を見つけることはできず

とりあえずわたしたちはロビーのフロントへ行って
春野先生を近くで見かけていないかどうか、聞いてみることにした。