“今から、ここにいる高橋さんと一緒に、
春野先生を呼びに行ってもらえないかしら?”
――これは一体、何の偶然だろう。
思いもがけない小崎先生からの言葉で
なんとわたしはあの翔と一緒に、春野先生がいるところまで呼びに行くことになった。
“行ってらっしゃ~い♪二人とも、お願いね”
後ろでは今も小崎先生に明るく手を振られながら
翔とわたしは、相変わらず準備にいそがしいこの場をあとにして
ここへの空き地と繋がっているホテルまでの短い道のりを
わたしは内心、心臓をドキマギとさせて歩く。
「……」
テクテクテク
「……」
テクテクテク
“早く来ねーと置いてっから”
前もって忠告されたとおり、なんとか翔の後ろを必死にギクシャクついて歩くも
お互い、終始無言のまま。
ようやくホテルの入り口が見えてきたかと思った、そのとき
今までわたしのすぐ目の前を、ただ黙々と歩いていた様子の翔が
突然ピタ、と足を止めたかと思うといきなりこっちを振り向いた。