その名前に、思わず自分の目がギョッとして

すぐさま止めに入ろうとしたわたしに


小崎先生は腕の時計に触っていた手を、なにやら突然パッと上へあげて見せたかと思うと、

今も向こうで淡々と木材を運び出している翔に対し、大声で呼びかける。


そのまま「お~い」と何度も手招きする先生に

さっきまで肩にかつぎあげていたタキギを、いったん向こうの方へと下ろしてきた翔が

しばらくして、何やらケゲンな目をして、こっちへと近づいてきた。



「…なんすかいきなり」

「広瀬くん、ほんと急で申し訳ないんだけど
今から、ここにいる高橋さんと一緒に、春野先生を呼びに行ってくれないかしら?
普段じゃ見慣れないところだし、敷地も広い分
女の子ひとりで行かせるのはさすがにちょっと、心配で」



広瀬くんが一緒に行ってくれたら、先生すごく安心するんだけど。



その根拠は一体どこからやって来るのか

両手を顔の前へ合わせてみせたかと思うと、わざと困った目をする先生に

翔がチラ、とわたしを見た。



「……」

「!」



そのままジッとこっちを見てくる翔に、思わずわたしの肩がビクリとする。