「……?あの、どうかしたんですか?」


「ん?あ、え…ええ
それがね、肝心の春野先生がまだ来てないのよ。
ケータイの電源もなぜか切ってるみたいで。
…名目上は、今年の修学旅行を盛り上げる楽しいお祭りごとにはなってるけど
元は大きな火を扱う、少し注意して見なきゃならないイベントだから。
もし何かあったとき
適切な判断と、すばやい処置がとれる春野先生には、絶対いてもらわなきゃ困るんだけど…」


今から呼びに行こうにも
責任者のわたしがここを離れるわけにはいかないし

他の先生たちだって
今はまだ手が離せないだろうから…参ったな。



「もし手が空いたらこっちの方、だれか手伝ってくれ!」

「おい、まだそこ終わってないぞー」



辺りを見渡してみても

どの先生たちも皆、目先の準備とその対応に追われているのか
さっきからバタバタとせわしない様子。


しばらくの間、その光景をすぐ側から目の当たりにして
再びフゥと大きなため息をこぼしかけそうになった小崎先生に

それを見たわたしは、とっさにこう口を動かしていた。



「あ、それならじゃあ…
代わりにわたしが今から春野先生、呼びにいきます」