「あ、…おぉーい勇樹たちぃ!」
――その後、歩いてホテルの入り口へとやって来たわたし達に
他のクラスの人たちも大勢いる中
先に集まって、点呼を受けていた様子の2班のメンバーが声をかけてきた。
そのまま急いでこっちへと走ってくる男子たちに、
何も知らないわたしは、一緒にいた直哉くんたちとお互い顔を見合わせる。
「…どうした?」
「なぁなぁ翔たち見てねぇ?
あいつさ、まだここ来てないらしくて」
先ホテル行くっつってたから
さすがにもうこっち着いてると思ったんだけど。
ゼェゼェと息を切らしながらも、必死にそう説明する男子の言葉に
思わずわたしの肩がピクッと反応する。
「……」
ドクン、ドクン…
“俺、先ホテル戻るわ”
翔…
あれからまだ、ここ来てないんだ。
でもそれじゃあ翔たちは今、どこに…―――?
「……っ」
「ん?」
そう思ったら一気に不安になって、
とっさにギュッと自分の両手を握りしめようとした、そのとき
ふと誰かに気づいた様子の男子が、
わたしたちのいる背中の向こうを指さすなり、声あげた。
「あっ、翔!」