“直哉いけー!”
“1点決めろー!!”
それはわたしたちが高校に進学してまだ間もない一ヶ月前のこと。
たまたま授業で体力テストを受けていた女子とは対照的に
男子たちはこのとき全員、サッカーの試合で盛り上がっていて。
その日はお互い、違う色のユニフォームを身につけてプレーしていた直哉くんは、
その中にいた、敵チームの翔とずいぶん長い間、一つのボールをめぐり
熱くせり合っていたんだ。
“――!! 直哉くん!!”
だけど、あと数秒で決着が着くかと思ったそのとき
突然――ゴールめがけて真っ先に走り出した直哉くんに
すぐさま後を追いかけた翔が、ブレーキを抑えられずに、そのまま目の前にいた直哉くんと正面衝突。
“!?”
その勢いで、とっさにバランスを崩した二人は
そのまま地面を引きずられるようにして激しく倒れこむと
すぐさま近くにいた先生たちによって
1階の保健室へと運ばれて行った。
“あれっ、加奈子ぉ?そんな急いでどこ行くの?”
“ちょっと保健室行ってくる”
ところがお昼休みになっても
一向に戻ってくる様子のない直哉くんを心配したわたしは
とにかく気が気じゃなくて。
居ても立ってもいられず
気づいた時には、直哉くんがいると思う保健室まで、ただ夢中で駆け出していたんだ。
“こんなん、
ただのかすり傷くらいで、大げさ…”
幸い、そこで見た直哉くんの様子は無事で。
思わぬヒザのケガも、それほど大きなものではなかったけど
“サッカーの試合
直哉くんのチーム、その…ま、負けちゃったけど
でも最後の最後で直哉くんが蹴ったボール、
本当はあれ、ちゃんと…入ったんだよ”
“!”
“だからその…
元気、出してほしい…”
でもこの時、なにげない気持ちで直哉くんと交わしていたはずの会話は
同じ部屋にいた翔にも全部、聞かれてて……
“1点決めろー!!”
それはわたしたちが高校に進学してまだ間もない一ヶ月前のこと。
たまたま授業で体力テストを受けていた女子とは対照的に
男子たちはこのとき全員、サッカーの試合で盛り上がっていて。
その日はお互い、違う色のユニフォームを身につけてプレーしていた直哉くんは、
その中にいた、敵チームの翔とずいぶん長い間、一つのボールをめぐり
熱くせり合っていたんだ。
“――!! 直哉くん!!”
だけど、あと数秒で決着が着くかと思ったそのとき
突然――ゴールめがけて真っ先に走り出した直哉くんに
すぐさま後を追いかけた翔が、ブレーキを抑えられずに、そのまま目の前にいた直哉くんと正面衝突。
“!?”
その勢いで、とっさにバランスを崩した二人は
そのまま地面を引きずられるようにして激しく倒れこむと
すぐさま近くにいた先生たちによって
1階の保健室へと運ばれて行った。
“あれっ、加奈子ぉ?そんな急いでどこ行くの?”
“ちょっと保健室行ってくる”
ところがお昼休みになっても
一向に戻ってくる様子のない直哉くんを心配したわたしは
とにかく気が気じゃなくて。
居ても立ってもいられず
気づいた時には、直哉くんがいると思う保健室まで、ただ夢中で駆け出していたんだ。
“こんなん、
ただのかすり傷くらいで、大げさ…”
幸い、そこで見た直哉くんの様子は無事で。
思わぬヒザのケガも、それほど大きなものではなかったけど
“サッカーの試合
直哉くんのチーム、その…ま、負けちゃったけど
でも最後の最後で直哉くんが蹴ったボール、
本当はあれ、ちゃんと…入ったんだよ”
“!”
“だからその…
元気、出してほしい…”
でもこの時、なにげない気持ちで直哉くんと交わしていたはずの会話は
同じ部屋にいた翔にも全部、聞かれてて……