「……そっか」

「…っ」

「今告白した自分が言うのもなんだけど
実は俺、加奈子ちゃんが広瀬くんのこと好きなのは、薄々気づいてた。
…サッカーの試合があった日から」


でもそれ以上、うまく言葉が出てこなくて
ただただ一人泣きじゃくっていると

しばらくしてわたしから手を離した直哉くんが
ポツリとつぶやくように口を開いた。



“サッカーの試合があった日から”



思いがけないその一言に、わたしは思わず「え…?」とうつむいていた顔をあげる。


「…っ?サッカーの試合、って…?」

「……」


とっさに頭で考えようとしてみるものの、身に覚えのない話に

わたしは今自分が泣いているのも忘れ
目に大きな涙を溜めたまま、直哉くんの顔をジッと不安げに見つめる。


するとそんなわたしを見て
直哉くんは一瞬、どこか困ったように眉を下げて笑ったかと思うと、
こんなことを口にしたんだ。