「聞いた聞いた!
昨日、同じ布団ん中にずっと隠れてたんでしょ?あの二人」

「しかも広瀬くんの方が一方的に好きらしいよ高橋さんのこと。あのあと全員がいる目の前でコクったって」

「えーうそ!?ショック…」

「じゃあバスレクで男子たちが言ってたのはあながちウソじゃなかったってこと?」


その話の内容に思わずビクッ、として後ろを振り向くと

わたしが翔に告白されたことをウワサしていたのは
昨日、あの場にいなかったはずの女の子たち。


自分たちの会話が丸聞こえなことに気づかないのか

みんな互いに顔や耳を近づけては次々とこう話してる。


「で? 肝心の高橋さんは何て?」

「それがさぁ、まだ…らしいよ。
いきなり言われてビックリしたのか、あのあと走って逃げちゃったって」

「えぇー!」

「それじゃあ広瀬くんは今、高橋さんからの返事待ちってこと?!」


その瞬間

信じられないと言った、女の子たちの疑いの目が一斉にこっちへと飛んできて

わたしは急いでバッと前を向きなおした。



「……高橋さん、なんて返事するんだろ~?」

「もっちろん!ハイって言うに決まってんじゃん!
だって相手はあの広瀬くんだよ!?断るわけなくない?」

「だよねぇ…、あぁいいな~」

「でもさぁ正直あたし、翔くんは三浦エリと付き合ってんだと思ってた」

「それあたしも!
てかあの二人、絵てきにもすっごいお似合いだよね!」

「分かる分かる!あのペアなら釣りあいも取れてるし超納得!」


なのに何で高橋さんなんだろうね?

何だかもったいな~い。



そう言って

さっきよりもヒシヒシと痛いくらい感じる
女の子たちからの突き刺すような視線に


このとき、何だかすごくイヤな気持ちになったわたしは
とっさに自分の両手をグッ…、とにぎりしめていた。


「……」