-10分後-
「必殺!トルネードジャンプ!」
「うっわ、やられた!つーかそれは反則だろ!」
チャッ、チャラッチャラ、チャラッラ~♪
その瞬間
勇樹くんが持っていたDSから
とたんにゲームオーバーを知らせる効果音が鳴り響き
対戦相手のあさみちゃんが「やったぁ!」と嬉しそうな声をあげる。
そんな二人を眺めて詩織ちゃんが一言…
「よく飽きないね二人とも…」
と、すっかり呆れ返った様子で半分畳に寝そべっている中、
その隣でわたしはヒザを抱えたまま黙り込んでいた。
「……」
チッチッチ…
どうにも待ちきれず
わたしは一人そわそわと
何回目になるだろう、壁の時計を見あげると
時刻はちょうど深夜の0時…
それを見て、わたしはフゥと息をはいた。
“気をつけて行ってくる”
(…もしかして直哉くん、デジカメが思うように見つかんないのかも)
一度そう考え出したら
今ごろこの真下の部屋で、
例のデジカメを必死に探し回ってる直哉くんの姿が思い浮かんで…
わたしはまた大きなため息をもらした。
「あはっ、もしかしてあたし、こっちの才能あるのかも!
ねぇ詩織と加奈子も一緒にやろーよ!」
「えーやだよ。小学生じゃあるまいし」
「…ハァ」
…直哉くん、
早く戻ってこないかな…――
そんなことを思って
前ではあさみちゃん達が楽しそうにゲームに夢中になっている様子の中
わたしはひとり上の空でいると…
(…ん?)
外の廊下の方から
ふと誰かの近づいてくるような気配がして…
――ガン!
強く襖をたたく音がした。