「…?
ねぇあの…二人とも、さっきから何の話ししてるの?」

「へ?何って?
…――!!あっ、そっか!
そいえば加奈子
あん時ちょうどロビーから、まだ部屋に来てなくて
そんとき勇樹たちとしてた話、加奈子だけちゃんと聞いてないんだよね?!
わぁぁ、ごめん;」


もちろん加奈子にもすぐ伝えて教えようと思ってたのに、

そしたらそのあと時間内までにソッコーお風呂行ったりなんだりしなきゃで

結局今まで話すタイミング、すっかり忘れてた;


息継ぎもせず、ひたすらそこまで説明すると
やっちまった、と言わんばかりに、頭を抱え始めたあさみちゃん。


隣では詩織ちゃんがハァー…と、深いため息を出して呆れてる。


「まったく。調子いいことばっか言って、どーせそんな事だろうと思ったよ。
大体、そもそもの言い出しっぺはあさみの方なんだから。
しっかりしてよもう」


「う゛…ゴ、ゴメンナサイ;」


??

…い、いったい何のことを言われてるのか
よく分かんないけど…;

どうやらわたしが今日の夕方、
あの翔と夜中に来るか来ないかで、しつこくずっと揉めていた間に、

先に部屋へ着いていた様子のあさみちゃんと、
同じ1班のメンバーである勇樹くんたちとの間で、何か決まったことがあるみたい。


「今はちょうど他の先生たちもいるし、一緒にごはん食べてるから。
ここじゃあんまり、大きな声で話せない事なんだけど…」


あさみちゃんはそう話すと、
妙に視線をキョロキョロと動かしながら
突然タイミングを見計らったように、いきなりコソッとわたしに顔を近づける。


そして周りにはほとんど聞こえないような、小さく潜めた声で、こう耳打ちしたんだ。


「実はね、今夜の消灯後、1班の男子たちを全員、ウチらの部屋に呼んで、
みんなで集まろうって話なの」