「ちょっ…、あさみ!!
加奈子の分にまで手ぇ出すなんて…意地きたないにも程があるって!
それに明日は、班別行動でおいしいもの食べまくるって約束でしょ!?
そもそも、あさみから言い出した事なんだから、少しはセーブしときなよ!」


「う~ん?聞こえないなぁ。だってもったいないじゃん;
それにぃ、ダイエットは修学旅行が終わってから~♪」


半分怒り気味にも見える詩織ちゃんからの助言に、
当のあさみちゃんは全く耳を傾けるつもりがないのか

まるでどっかから取って付けてみたような
楽しい歌のフレーズをフンフンつぶやいたかと思うと
「♪」と嬉しそうな顔をして、ようやく取り出せたカニの身を
さっそく口の中へと頬ばりだした。


「んん~!おいひ~♪」

「はぁ~…、もう。
ブタになっても知らないからね」


大好きなカニを、本場の地である北海道で食べることが出来て、
すっかり幸せそうな顔のあさみちゃん。

詩織ちゃんは怒りを通りこして、呆れた様子。


このとき、そんな二人のほほえましいやりとりを見て

一瞬…、翔たちから今夜、飲みに誘われていたことを伝えるべきか迷ったけど…


すでに行かないとハッキリあのとき断って、わたしの中ではもう終わった話だし

それに、今さらここでいきなりそんなことを切り出すのもアレかなと思い、

あさみちゃん達ふたりには、やっぱり黙っておくことにした。