「ちょっと、あさみっ」
「んまぁ、そうカッカせずに。
せっかく北海道まで来たんだし?やっぱ本場の味を楽しまなきゃぁね」
そう言ってあさみちゃんはまるでペコちゃんのように
ペロッ♪と可愛く舌を出したかと思うと、お得意のウィンクまでしてみせた。
が、しかし
小学校からの付き合いでもある詩織ちゃんには
そんな色じかけなど通用せず
「もーまったく。
調子乗って今それらしいこと言っちゃってるように聞こえるけどね、
そんなんばっかしてると…」
「?」
「太るよ」
詩織ちゃんの鋭い発言に
一気に「!」と言葉を無くした様子のあさみちゃんが
とっさに近くにあったナプキンを両手につかむ。
そして何を血迷ったのか
急いで紙ナプキンを口で覆ったかと思うと
勢いよくガバッ!とテーブルの下にうずくまって何かしでかそうとするあさみちゃんに
すでに血管マークの浮き出ておさまらない顔の詩織ちゃんが、断固それを阻止する。
「――!!」
「吐くな。
人のカニ無断で食ったモンは最後まで責任とりやがれ」
そのままジタ!バタ!と隣で揉め出す二人をよそに、
わたしは持った箸をすんなり動かすような気持ちにもなれず
やたら手のこんだ料理を黙って見つめたまま、一人ぼんやりしていた。
「んまぁ、そうカッカせずに。
せっかく北海道まで来たんだし?やっぱ本場の味を楽しまなきゃぁね」
そう言ってあさみちゃんはまるでペコちゃんのように
ペロッ♪と可愛く舌を出したかと思うと、お得意のウィンクまでしてみせた。
が、しかし
小学校からの付き合いでもある詩織ちゃんには
そんな色じかけなど通用せず
「もーまったく。
調子乗って今それらしいこと言っちゃってるように聞こえるけどね、
そんなんばっかしてると…」
「?」
「太るよ」
詩織ちゃんの鋭い発言に
一気に「!」と言葉を無くした様子のあさみちゃんが
とっさに近くにあったナプキンを両手につかむ。
そして何を血迷ったのか
急いで紙ナプキンを口で覆ったかと思うと
勢いよくガバッ!とテーブルの下にうずくまって何かしでかそうとするあさみちゃんに
すでに血管マークの浮き出ておさまらない顔の詩織ちゃんが、断固それを阻止する。
「――!!」
「吐くな。
人のカニ無断で食ったモンは最後まで責任とりやがれ」
そのままジタ!バタ!と隣で揉め出す二人をよそに、
わたしは持った箸をすんなり動かすような気持ちにもなれず
やたら手のこんだ料理を黙って見つめたまま、一人ぼんやりしていた。