ドク…


「…はよ」

「おっわテンション低っ!
なに?何かあったん?」


その瞬間

全神経が後ろの翔がいる方へと向いて

わたしは机のイスに座りこんで止まったまま
思わず目の前のスカートをググッ…とにぎりしめる。


そのまま黙り込んでしまったわたしに、
今までみんなと話していたあさみちゃんが「あれ?」とこっちを見た。


「加奈子?」

「……っ」


“おまえなんか一生…、大キライなんだよ”


…どうしよう。


やっぱりダメだ。

翔の顔うまく見れない。

昨日あんな事があったのに
いつも通り普通になんてできない…!



スッ…


「!」



どうすればいいのか分からず

翔たちの声がする方から背を向けたまま、ひたすら目を押しつぶってこらえていたそのとき


突然後ろからソッ…と誰かの手が触れた気がして。


ビックリして顔をあげると、側にいた直哉くんが何も言わず
わたしの肩に手を添えていてくれたんだ。



あ……



“俺が、守るから”


一瞬ビクッとしながらも
昨日聞いた直哉くんの言葉を思い出して、わたしはようやく落ち着きを取り戻す。


目の前ではどこか複雑な表情をした直哉くんが今も手を離さないでいてくれて

わたしはとっさに下を向くと、小さく口を開いた。


「ありがとう……」