“――あら、翔くん。久しぶり。
ちょっと見ない間に、また背が伸びたんじゃないの?
ちょうど今、学校帰り?”
“…あ、ハイ。まぁ…”
“そういえば今翔くんが手に持ってるその紙、進路志望のじゃない?
こないだ、加奈子がウンウン言いながら必死に書いてるの見たわ。
まだこんなに小さかった加奈子たちが
来年にはもう高校受験だっていうから早いものよね。
“……”
“それにしても翔くんてば、どんどんカッコ良くなっちゃって。
そうだ!ね、翔くん。
せっかくだから久しぶりにウチあがっていかない?
今ちょうど加奈子、部屋で受験勉強してるし
呼んでくるわ”
“…や、いいっす。すんません。
ちょうど今進路で考えたいことあるんで。
…その代わり一つ聞きたいことあるんスけど、いいっすか”
“なに?なにかしら?
何でも言ってちょうだい”
“あいつ…
や、加奈子、来年どこの志望校受験するっつってました…――?”