「はい皆おはよう。席につけー」
――結局
サッカーボールを向けてきた翔の真意はうやむやにされたまま…。
それでも一方的に話しかけてきた男子とは、
再びアドレスを交換し直すなんていう雰囲気ではとても無くなり
ただただ気まずい空気の中
ガラッと教室の扉が開いて、担任の先生が入ってきたのを機に
皆それぞれの席へと戻っていった。
「……」
次々と着席していくクラスメイトたちに紛れて
わたしも急いで自分の席に座ると、隣の席にいる翔を見やる。
そんなわたしの視線に気づいているのか、いないのか
翔はすっかり長くなった足を持て余すように机からはみ出して座り
ひとりムスッとした顔をして頬杖をついていた。