「…ん?あれ母さん。加奈子はどうした?」


「それがねぇ、あの子。
帰ってくるなり
ただいまも言わずいきなり部屋に閉じこもって、一度も出てこようとしないのよ。
さっきも2階にあがって呼びにいったんだけど
まだお腹すいてないって言い張るし、どうしたのかしら…?」




―1階のリビングの方から
夕食を口に運ぶお父さんたちの心配そうな会話が聞こえる中

わたしはひとりベッドの上に座り込んで、ジッとしていた。



「……」




“おまえなんか一生…、大キライなんだよ”



ヴーヴー



しばらくの間
小さく明かりのついた部屋でひとり、ヒザを抱えてうずくまっていると

とつぜん枕元の方からケータイのバイブ音がして、ビクッとする。