でないと
また同じことするかもしんねーぞ。


そう言ってまたフイと下を向いた翔に
わたしは何も言えなくなる。


それでも翔のことをほっとけず
一人ここから逃げ出さないでいると

しばらくして今まで床に座り込んでいた翔がムクッ…と起き上がり、ゆっくりとこっちに近づいてくる。


「…!」


そのままガン!と壁に置かれた手に
背中がビクッと反応すると

翔が突然顔を近づけてきて
わたしはとっさに顔を背ける。


「……」


ガタガタと
さっきよりも怯えきった様子のわたしを見て
翔はそこでひとり何かを察したのか

すんなり手を離し、わたしから目をそらしたかと思うと
ケッ…と強がるように笑った。