「へッ…、なんっで俺の代わりに加奈子が焦ってんだよ。
…いいっつってんだから、ほっとけっての」

「!そんなこと言ったって…」

「だいたい、今さら人の心配してる場合かよ。
おまえ…、さっき自分が俺に何されかけたか、分かって言ってんの?」


え……?


冷たくそう言い放ち

さっきまでうつむいていた顔をクッと上げ、こちらを鋭く睨みつけてきた翔に、

思わずわたしの心臓がドクンと音を立てる。


「それは……」



“っ!…や、やめ…”


その瞬間、さっきの出来事が一気に頭中をかけめぐり

言おうとしていた言葉も飲み込んで
だだ黙ってその場に立ちすくんでしまったわたしを前に


翔は一瞬目つきを歪め、すぐにわたしから顔をそらしたかと思うと
こう呟いた。



「俺の体を心配するヒマがあったら、まずは自分の身の心配をしろよ」