「――!翔…っ?」

「……」


そのまま冷たく振り下ろされた手に、思わずわたしの足がピンッ、と糸で引っ張られたように止まる。

ビックリして後ろを振りかえると、翔は下を向いて息をしながら、こう言った。


「…いい」

「えっ?」

「行かなくていい」


!?


少しの沈黙のあと、翔がボソッと口にしてみせた言葉に、わたしは目を見開く。


「っ…、でも…」


このままじゃ…


そう言いかけて

ジリ…とここから動けないでいると、
まるでそんなわたしをおかしいとでも言いたいように

下に見える翔は肩で大きく息をしたまま、フン…と鼻で笑った。