「……っ」
ギュッ…!!
その瞬間
わたしは目の前でうずくまる翔の手をとっさにバッ!とつかんでいた。
思わぬわたしの行動に、今まできつく目を押し閉じて痛みに耐えていた翔が「!?」と顔をあげる。
「!? 加奈子…!?」
「い、行こう。保健室に。
今すぐ、み…看てもらわないと」
「……!」
「いっ、今なら先生もまだ、いるはずだから…っ」
でないとこのままじゃ、翔が…
そう思ったらとたんに怖くなり
わたしは翔の手をギュッ!と掴んで握ったまま、無我夢中でここから立ち上がる。
そのまま急いで先生の待つ保健室まで連れ出そうと、
その場からわたしが勢いよく走り出そうとしたとき
突然、下にいた翔がその手をパシッ!と振りほどいた。