「?……翔?」

「……ッ」

「ど、どうしたの…っ?」


とっさにわたしがそう話しかけても、翔は一切反応しない。


ひたすらただ歯を食いしばってうつむいたまま、手でヒザを強く押さえ込んでうずくまっている。

様子がおかしい…。



―ズキン!



「いッ…!」

「!?」


…い、いきなり何…?

何が起きたの?


どうしちゃったの…――?


今まで見たことがないくらいの、
初めて見る翔の…必死に何かをこらえるような苦しげな表情に、思わずわたしの顔が真っ青になる。


そのまま一人うろたえていた時…
ふとわたしの記憶に
今日のお昼休み…黙って部屋を出ていこうと歩き出した翔に向かい

保健医の春野先生がさりげなく口にしていた、あの時の言葉を思い出して――



”ぶっちゃけあなたの方が直哉くんよりも重傷なんだから。
しばらくはここで安静にしてろって
あれほど念を押したはずだけど”



「―!」


あ……
も、もしかして翔

試合でケガした時の傷が、まだ…