「…何だよ、分かってないって。
そう言うおまえだって俺のこと何も分かってねーくせに、初めから知ったような口すんな」

「…っ?」

「こんな近くにいんのに、なんで少しも気づかねーんだよ…」


え…?


翔の口から聞いた意外な言葉に、わたしの心臓がドクンと音を立てる。

そのままぼうぜんとするわたしに
真上に映る翔はほんの一瞬、やるせないような表情を浮かべたかと思うと

押さえつけていた手に力を込め、こう呟いた。



「たかが今日初めて話しただけのやつに、あっさり持ってかれるくれーなら…奪ってやる」