そう思ったら悔しくて
大きく肩で息をしたままジワリと涙ぐむわたしに、翔が鋭く睨みつけてきた。


「…なにムキんなってんだよ。バカナコのくせに。
まさかあの直哉って言うヤツのこと
マジで好きになったとか言いてぇのかよ」

「うんそうだよ好き…!好きだもん…!
直哉くん優しいし、サッカーの試合だって誰よりもいちばん頑張ってて…目が離せなかった。すごいって思った。
なのに直哉くん…こんなわたしのこと、中3の時から気になってたとまで言ってくれてさ……
翔なんかとは大違い!」

「……っ!」

「だから保健室でキスされそうになった時も全然イヤじゃなかったし、直哉くんになら全部あげてもいい。
そう思ったから抵抗だってしなかったんだもん…。
それの何が悪いの?何が気に入らないの?
翔なんか…、ただわたしと幼なじみって言うだけで何も分かってない…全然わかってないよ。
翔なんか一生好きになんない!」

「うるせぇ!」



ドサッ!


「っ!」


最後の方はほとんどワケが分からなくなっていて
半分泣きながら大声でわめいた瞬間

目の前に立っていた翔が
突然わたしの腕をつかみ、床へ押し倒された。