ちゃんと来いよ。


それだけ言い

わたしの机からスッと手を離したかと思うと

そのすぐ隣の、自分の席に浅く腰をかけて座った翔。



「えー、ではさっそく
今開いたページの英文を、朝倉」

「はい」



“深く傷つけることになるわよ”



先生に指名され

教室内からは
ひとり立ちあがったクラスメイトの、淡々と英文を読み上げる声がする。


「……」


そんな中
隣同士に座る翔とはどこか気まずい沈黙が続いたあと

しばらくして
わたしはぎこちなく、こう頷き返した。


「――う、うん…」