「……」



しばらくの間、ダムダムと激しい音を立てて、何度も大きなバウンドを繰り返すサッカーボール。


その迫力に
さっきまで騒がしかったはずの教室がシン…、と静まり返った。


しばらくしてわたしは押しつぶっていた目を開ける。


すると、こうなる事をまるで初めから計算して蹴り飛ばしたかのように

勢いよく向かってきたサッカーボールはその持ち主のもとへ

一切の狂いも、一瞬の迷いさえないまま…

ただ忠実に、まっすぐ転がりながら戻っていった。



「……」



静かに足元へと止まったサッカーボールに手を伸ばす……、細長い、骨ばった指。


わたしたち目がけて、サッカーボールを向けてきたのは……