「ふっ…ふふ。アハハ
なーんてね。ちょっとイジメが過ぎたか?
彼みたいな典型的タイプ見てると、つい横から口出したくなって困るわ」
しばらくの間、重く張りつめるような沈黙が続いたあと
突然、目の前にいた先生が「ははっ」と笑いだした。
そして指にはさんでいたタバコを
デスクの灰皿にグリグリと押さえつけて、ポイッと中へ放りなげたかと思うと
突然イスをグルッとこっちに回して、目を鋭く光らせながら唐突にわたしの方をビシッ!と指さして言う。
「それとあなた達!
…いーい?今後一切あたしのいる保健室で男女共、やましいと思う行為はしないこと!
したければ大人しく家帰ってしろ!分かったら今すぐ返事!!」
「! は、はいっ…!?」
教師という立場以上に
どこかそれよりももっと強い貫禄を感じさせるような先生の物言いに
思わずわたしの背筋がビクッ!と反応する。
でも当の先生は今さらそれどころじゃないのか
ひどくイライラした手つきで
もう一本、箱から新しいタバコを抜き出して口にくわえ込んだかと思うと、
せわしなく足元のつま先で床を叩きながら、ハァと息をはいた。
「ったく…
どいつもこいつも。
ここはホテルじゃないっつーの」
カチカチと、何度もライターの音を鳴らして、タバコの先を照らしながら
先生はひとり何かボソボソとつぶやいたかと思うと
直哉くんがそれをかばうようにして、突然わたしの前に腕を差し出した。