「こんなん、
ただのかすり傷くらいで、大げさ…」

「……」

「それに、試合中のケガなんてスポーツにはつきもんだと思うし。こんくらい、どうってことない。
それより……」


そこまで言いかけようとして

なぜかポツリと黙ってしまった直哉くんに
わたしは「?」とうつむいていた顔をあげる。


「? 直哉くん…?」

「……」



へ?あれ…?


も、もしかしてわたし、また何か変なこと言ったとか…!?


急に黙り込んだりして

どうしたんだろう…?



体育での試合のことを口にした途端


何かを考え込むような

なんだかさっきよりも
心なしか、少し元気がなくなった様子の直哉くんを見て、わたしはまた心配になる。


そのままオロオロと見つめていたとき

例のサッカーの試合が終わる間際


最後の最後まで、少しも諦めることなく

誰よりも一番、一生懸命に

ひたすら必死になって何度もゴールを入れようと頑張っていた直哉くんの姿を思い出して……





“ピピーッ!”




「!」


…あ

も、もしかして直哉くん


あの時のこと――気にしているの…?