「加奈子ちゃん」

「! ハ、ハイ!」


意を決して、とっさに自分から話しを切り出そうと口を開けたものの

直前で直哉くんに名前を呼ばれてしまい

思わずわたしの背筋がピシっ!と伸びる。


(……。あれ?)


ところが直哉くんはわたしの名前を口にしたきり、何も言ってこなくて…。

不思議に思ったわたしは、おそるおそる後ろを振りかえる。


「……」


すると、そこには

丸イスに座り込み、自分で自分の頬をつまんで引っ張ったまま

何やらひとり固まった様子の直哉くんがいたんだ。