「…い、いえ。直哉くんとはまた別の人、です」
先生からいきなりそんな事を聞かれると思わなくて
ついさっきまで、しっかりと合わせられていたはずの目も
思わず横へ泳ぎ、顔ごと逸らしてしまったわたしに
その反応を一体どう捉えたのか
先生は「へぇ、そうなの?」とキョトンとして返したかと思うと
すぐに、どこか意味を含んだような口ぶりで
「それは残念」
そうつぶやいて笑った。
……何か誤解?されたかも。
【春野先生。春野先生。
ただいまお呼び出しが入っております。
至急、職員室へ…】
しばらくの間、自分の中で気まずい空気が漂っていたその時
突然、校内からアナウンスがした。
春野先生というのは、今目の前にいる先生のことを指しているのか
アナウンスの声が入った途端、先生は「アッ」と何か思い出したように口を開ける。