「昨日教室で見たときから思ってたけど、やっぱあの人すごいよね」

「うんうん、てかもうあれプロだよプロ!」

「やばい。超かっこいい!」


その会話にビックリして顔をあげると

目の前では、向こうにいる誰かをウワサして、何やら騒いでいる様子の女の子たち。


そしてそこにはあの三浦さんも
例の人を、みんなと一緒になって後ろから見ていて。


それに反応するように
わたしも思わずここから立ち上がり
その人たちが見ている方向へ目を向ける。


「一本入れるぞ!」

「パスパス!」

「今すぐディフェンスに戻れ!」


すると中央のコートでは

ここからでも聞こえるくらい

互いを強く指示する声や、サポートする声が一度にいくつも飛び交い
大きな盛りあがりを見せていて

赤や青のユニフォームを着た男子たちがまさに今
サッカーの試合をしている真っ最中だった。


「うわっ、何かあそこ囲まれちゃってる」

「青の男じゃま!」

「あ、でも抜けた!」

「いけいけー」


そして女の子たちの応援の的になっていたのは


次々と襲いかかってくる敵チームの攻めにも一切動じることなく
しかもその攻撃陣の間をすばやいドリブルで交わし、あっさり抜けていったかと思うと


相手側のゴールエリアよりも
だいぶ離れた位置から

大胆にもミドルシュートを飛ばしてみせたあの、翔の姿だったんだ。