「そこの女子遅いぞ!何分だと思ってる!」

「すいません!!」


着替えを終えて、急いで校庭に走って来ると

遅れてきたのは
わたしとあさみちゃんの、二人だけだったらしく

担当の先生がまさに今
点呼を取ろうとしている最中だった。


他の女子生徒は皆すでに集合し、座って待機する中

その後ろを
わたしとあさみちゃんがそそくさと隠れるようにして並ぶ。


「ハァハァ、…こっ、こんな全力疾走したの、久しぶり…呼吸困難でしぬかと思った…。
しかも詩織ってばほんとに先行っちゃうし!」

「だから言ったじゃん。早くしないと置いてくよって」

「で、でもなんとか遅刻扱いにならずに済んで良かったね…」


背中を丸め、ゼェゼェと息を切らすあさみちゃんに

中学のときは陸上部で、その部長も務めていたという詩織ちゃんは、半ば呆れた様子。


それでも何とか授業に間に合ったことに
わたしはホッと胸をなでおろしていた。



前では仁王立ちした先生がさっそく点呼を始めていて

自分も名前が呼ばれるのを大人しく待っていると

先生が立つ後ろの向こうで
クラスの男子たちがサッカーをしているのが見えた。