「おい、加奈子」


ここまで来ると、お互い意地になり

いつまでも首を縦に振らないわたしに、

ますますイラ立った様子の翔が、さらに顔を近づけてくる。


「~~~っ!やっ、やめ…っ…」


とうとう怖くなり、思わずわたしが顔を背けて精一杯の抵抗を示した瞬間

その反発に押され、ふたりごと一緒に床へなだれこむ。


その衝撃に、さっきまでキレイに整列されてあったはずの机や椅子が、
ガタガタッと音をたてて崩れた。




「い、痛……」


突然のことに、痛む腕を押さえながら、おそるおそる目を開ける。


すると、そこで見たのは

見慣れない制服をはおり、髪をキャラメル色に染めた……確かにわたしの知らない、大人びた翔の顔で…。


その光景に息をのみ、身動きが取れずにいると、


ゆっくりと焦らすように、翔の唇が近づいてきた。