「しゃーないやろ、これしかないんや、俺だって正しい犯罪があるなんて思ってへんよ」
「しかし、俺らは」
「大丈夫やて、心配ない。ちとものを拝借するだけや」
「拝借って」
そうこうしているうちに赤いランドセルをしょった女の子が門から出てきた。時間は八時ちょっとすぎ。アズマの言ったとおりだ。背丈は小さく、目が細くかわいらしい子である。中にはおじさんがいるのか手を振って別れている。そして、路地を歩いていった。八時半を回ったあたり五十代後半いや六十を超えているかもしれないそのぐらいの年齢の男性が出てきた。