窓からは東京が一望できる。ビルや建物、車がどんどん小さくなって見えた。観覧車に乗ってまだ一度もしゃべっていない美咲が口を開いた。
「お兄ちゃん、ハルお兄ちゃん」
「ん?」
「なんかあたしお兄ちゃんのこと・・・好きになっちゃみたい・・」
一瞬間があって
「・・・あっあれが東京タワーだよなぁ。こう見ると結構ちけーな」
ハルの目線は窓の外に向いている。
「お兄ちゃん、聞いてるの?」
「あん?」
「だから・・好き」
「あそこが東京タワーだからたぶんあっちの方が美咲んちだなぁ。お前んち見えっかなぁ~」
「そんなことはどうでもいいでしょ。聞いてるの?」
「聞いてるよ」
「じゃあ付き合おう」