ハルは急いでアズマのアパートへ向かった。インターホンを鳴らしてもなかなか出てこない
「何してんだよ」
そうつぶやくとおもむろにドアが開いた。
「アズマ、大丈夫かよ?」
と言い切らないうちに目の前を見ると髭は伸びっぱなし、髪の毛はボーボー、頬の辺りがこけやせ、目の色が明らかに違ったまるで別人のアズマが立っていた。
「アズマ、大丈夫かよ。」
「ああ」
「とりあえずあがるぜ」
家に上がるとあれほどきれい好きだったアズマの家がまるで廃部になった部室のように汚れていた。雑誌だの洋服だのゴミの残骸だのそこらじゅうに散らばっていた。台所なんかは食いカスがそのままのこって強烈な異臭を放ちはえがたかっている。