「さぁ~着いたここが俺んちだ」
「なんか薄暗くて陰気くさぁ~い」
「うるせーよ。男の一人暮らしなんてこんなもんだ。」
ハルのアパートは都心から外れた郊外の住宅街の中にある。築十五年。駅から徒歩十五分。間取りは1K。家賃は六万五千円郊外といっても都内にあるのでそこそこの値段だ。家の中に入ると大きなポスターが貼ってある。ハルが大好きな漫画のキャラだ。奥に入るとキッチンがある。流しにはコーラやビールの空き缶そして三角コーナーにはタバコの吸殻も捨ててある。なにか料理をしていたという形跡は一切見られない。
キッチンの反対側には机がついていて無造作に色々な本が置かれている。一番上には英語の問題集と単語帳があった。部屋全体が汚く、洋服だの雑誌だの食べた後のカップラーメンの残骸やごみコンビニ袋などちらばっていた。部屋のすみには申し訳なさそうにギターとアンプがセットにしておいてありすでにほこりかぶっている。窓際にはテレビがありその台の下にゲーム機、となりにはDVDがケースに入って置かれていた。部屋の壁にはポスターが貼ってありアイドルがビキニ姿でセクシーポーズを決めている。そのポスターの下にきちんときれいに整理された形で漫画が一巻もかけることなく一シリーズ約二十冊埃もかぶらず並べられている。そこだけ周りの汚さから見ると異様な雰囲気を保っている。