「ほなちと出かけてくるわ」
「どこにぁ~?」
「前のツレと会ってくる」
「一緒にいくぅ~」
「ああ、ええよ」
そういって美咲はアズマの車に乗り込んだ。そして裏路地の近くに車を停めた。
「ほなここで待っときや」
「どこいくの?」
「ちと会ってくるだけや。すぐ戻る」
「うん」
そういってアズマは暖房も音楽も切り車のキーを抜いた。車の中はいっきに静まり返り、窓の外に降る雨音だけが響き渡った。