「あ、もしもし」
「ん?誰や?」
「あたし、ハルお兄ちゃんの友達の青木美咲といいます。アズマさんですよね?」
「せやけど。ハルお兄ちゃん?ああハルか?」
「あの~」
「なんや?」
「今って空いてます?」
「ええよ。どっか連れてったるわ」
美咲は予想以上の軽い承諾に驚いた。
「え?ホントですか?」
「ああ、ほな新宿で待ち合わせしよ」
「あっはい」
そしてアズマと美咲は細かい待ち合わせ場所を決めて電話を切った。美咲は持ってきたリュックサックの中を整理して行く準備をした。封筒に入ったお金はテーブルの上に置いていった。そしてリュックサックを背負うと小さな声で
「ハルさようなら」
そうつぶやくとハルのアパートを出て暗闇の中ネオン街へと向かっていった。