「美咲もう大丈夫か?地元帰れるか?」
「うん。大丈夫だと思う」
「そうか。じゃあこの金を渡す。地元に帰ったら施設の一番信頼できる人に口座を作りたいっていうんだ。両親がいなくとも名義で作れるはずだ。そしたらこのお金をそこに入れておくんだ。いいな」
「こうざ?」
「そうだ郵便局でも銀行でもどこでもいい口座を作りたいって」
「でもどうしてお兄ちゃんそのお金くれるの?」
「うん?」
ハルは少しとまどった。
「お兄ちゃんはお金持ちなんだ。だから美咲みたいな子にはお金を少し分けてやらないと罰があたんだよ」
ハルはとっさに言葉を吐いた。
「ふ~んそうなんだ」
美咲はあまり興味がないといった反応を示した。
「まあとにかくこの金はやる。地元帰ったら口座作りたいって言えよ。そんな大金手元に置いといたらおっかねーから」
「う~ん。分かった。」
「じゃあ明日にでも帰るか。車で送っててやるよ。」
「う~ん。ありがと」
美咲は甘えた声で言ってきた。明日には美咲を栃木まで送って全てが終わる。そう何事もなかったように。