「真田くん…勝手に人の部屋に上がり込むなんて犯罪よ。」

「あー先生の部屋だったのか。」

「あぁ…あんな物やこんな物まで見てしまったのね…。」

「そーいえばガーゼがあったぞ。」

「もうお嫁に行けないわ……こうなったら真田くん!!私をお嫁に…」

「あー残念だなー俺まだ17歳だった。」


自分の世界に入り被害妄想を膨らませ、挙げ句の果てには冬馬に求婚を迫る。

冬馬が美月を苦手とする理由はこれである。

毎回こんな事をされている冬馬だったが最近では話を流す事で乗り切っている。


「ノリ悪いわねー真田くん…まぁいっか。それで…どっかケガしたの?」


妄想に飽きた美月は椅子に座って冬馬に尋ねた。


「……ちょっと足を、血が出てきたんで。けど大丈夫ですから。」

「大丈夫じゃないわよ。ほら、見せてみなさい。」


有無を言わせない美月の言葉に観念した冬馬はズボンの裾を捲った。


「あら、酷いわね…。ケンカでもしたの?」


美月は呆れたように冬馬を見た。


「いや、猪ちゃんにちょっと…」

「また猪ちゃん!?最近多いのよね〜…。」


どうやら最近の猪ちゃんは荒れてるらしい。