保健室に着いた冬馬は扉を開けた。


「失礼しまーす。せんせー?」


保健室を見渡す冬馬。


「……いないのか?よし、今のうちに…消毒液と包帯…いや、包帯は大袈裟か…絆創膏だな。」


先生がいないのを確認した冬馬は医療棚をあさり始めた。


ピンポンパンポ〜ン♪

「っ!!………びっくりするだろーが…。」


突然の校内放送の音に驚いて手を止めた冬馬だったが、再び棚をあさり始めた。


「絆創膏〜絆創膏は、っと…ねぇな…。ったく、どこだよ?」

「はい、絆創膏。」

「あぁ、ありがとうございます。それじゃ失礼しました。」


嫌な予感がした冬馬は絆創膏を渡してくれた女性を無視して保健室から出ようとした。

が、


「ちょっ…ちょっと!!真田くん!!」


呼び止められた。


「はぁ…。」


何事もなく保健室を出れるようにと願っていた冬馬だったが、その願いは脆くも崩れた。


今、冬馬の視線の先には

肩にかかる程度の栗色の髪に、薄めの化粧をした綺麗な顔立ちの先生がいる。


「何でしょうか加納先生?」


冬馬が苦手な

保険医の加納美月だ。