「あ〜…冬馬のせいだぞ。」


「うっせーな。お前が無視するからだろーが。」



教室を追い出された俺と冬馬は廊下をトボトボ歩いていた。


「はぁ…冬馬には頭殴られるし、猪ちゃんにはケツ蹴られるし…今日は散々だっての。」



「今日はってかいつもの事じゃねーか。」



そうなんだよね。



ケンカをするほど仲が良いと言われるけど

それは俺たちにも当てはまる。


ただ仲が良すぎる為、毎日のようにケンカが絶えないのだ。



そのせいであのような出来事が結構あったりする。



ただ

今日はさすがに相手が悪かった。


「ケツが痛ぇ…。なんつ〜蹴りだよ…。てか何であんなヤクザみたいなのが教師してんだよ…。」



俺たちの担任、猪股醍醐(いのまただいご)は紫のスーツを着こなし、サングラスをかけて学校内を徘徊するヤクザみたいな教師だ。

しかしながら常に生徒目線で物事を考えてくれる為、生徒からの人気は高い。

普段は生徒から猪(いの)ちゃんと呼ばれるぐらいだ。

それでも、そんなあだ名に怒る事なく笑顔で接してくれる猪ちゃんが俺も冬馬も大好きだ。


けど

今日はさすがにな〜…。