「はぁ〜…。」

遠藤がこっちを見ながらため息をついた。

「何でため息ついてんだよ?」

「大ちゃんの将来が心配で心配で…。」

何言ってんだこいつは。

「…まぁいいや。それより冬馬!!」

さっきからフェンス越しに紅白試合を見ていた冬馬に声をかけた。

「あー?」

気の抜けた返事をする冬馬。

「キャッチボールしようぜ!!グローブどこにあんの?」

「そーだな。グローブならそこのバッグに入ってるぞ。」

そう言いながら指差した先には真っ黒なバッグ。

「おーらい。……よし。ほら、冬馬の分。」

冬馬目掛けてひょいっとグローブを投げた。

「おい…グローブ投げんなっていつも言ってるだろーが。」

物を大切にする冬馬はそう言いながらグローブを受け取ろうとした。

けど

ポス…

受けそこなった。

「何やってんだ冬馬…?」

仮にも野球部だった奴が取れない訳がない。

「…いや、コンタクトがずれた。」

そう言いながら目をこする冬馬。


「うし…もう大丈夫だ。キャッチボールしようぜ。ほら、投げろよ。」


「はいはい。おーらよっと!!」

俺は思いっ切りボールを投げた。