「俺は、どこかであきらめてたんだよ。彼女とは結ばれない運命なんだって」
ため息混じりにそう言った拓登だったけど、その横顔を見ているとまだまだ彼女に未練があるように見えた。
悔しいけど。
敵わない。
きっとすごく素敵な人だった。
私なんかとは違って、大人で綺麗で・・・・・・
「会いに行かないの?」
「ん?もう終わったことだよ」
拓登は、点滅に変わった信号機をぼんやりと見つめていた。
「終わってないんじゃないの?」
「どういう意味?」
「拓登、まだ全然忘れてないじゃん。終わってないよ」
「そうだな。終わってないのかもな。ただ、怖いだけかもしれない。過去と向き合うことも怖いし、会いに行くのも怖い」
甘えるように私の肩に頭を乗せた。