少年のようにかわいい顔をしていると思っていた拓登なのに、今はとても男らしくてかっこよく見える。




“好き”って感情は、本当に不思議。





「俺、誰も好きになっちゃいけないんだよ・・・・・・俺は人を傷付けてしまう人間だから」





何も聞いていないのに、拓登は話し始めた。



真剣過ぎる横顔を見て、私は何も言えなくなった。






「高校1年からずっと付き合ってた彼女がいた。その彼女は、俺のせいで、自殺未遂をした。俺が彼女を地獄へ突き落としたんだ」





拓登の笑顔の奥の悲しみ。


拓登の心の奥の傷。



私は、言葉を失って、ただ拓登の大きな手の上に手を重ねた。





「高校3年になった頃だったかな。親父が、彼女と付き合ってることを反対し始めた。選挙が近付いていたから、親父は必死だった。自分の評価を下げるようなことは全て消そうとした。彼女の父親がリストラで職を失ったところだったんだ。それだけが理由かどうかはわからないけどさ」