「拓登も寂しいの?」 聞きたいけど聞けなかったこと。 踏み込むのが怖い拓登の心の中。 「さぁね。寂しそうに見える?」 「うん。捨てられた子猫みたい」 「俺が?お前じゃなくて?」 「私も拓登も、子猫みたい」 「ふふ・・・・・・ お前は家出した猫で、俺は捨てられた猫だな」 意味深なことを言った拓登は、またギターを弾き始めた。 静かな音色。 遠くの信号の赤が、拓登の頬を染める。